旅行関係短編

 大阪は万博記念公園にある、太陽の塔に入ったことはあるだろうか。私はある。

 一言で言ってしまえば、岡本太郎ワールドだった。まず塔に入ると、内部に行くまでの通路に、万博開催当時に流れていた岡本太郎作成の動画が流れていた。しかしそれが夢に出てきそうで個人的には結構怖かった。太陽の塔を想像していただければわかるだろうが、あの独特でちょっと不気味な感じを映像にしたものが暗い通路に半永久的に流れているのである。そしてその映像も開催当時、つまり50年ほど前に作られたため若干画質や音声が荒かったのも怖さを増幅させていた。

 そしてその通路を抜けて進むと、太陽の塔の中心部にたどり着く。円錐状のそこは案外広くはないものの、壁は真っ赤にライトアップされた上に鋭い小さな突起がたくさん付いており、その真ん中には「生命の樹」という作品が鎮座していた。「生命の樹」はその名の通り木のような形のオブジェなのだが、鮮やかな青や黄緑や赤に塗られており、その上には微生物や恐竜や鳥や人の模型が自由に置かれている。解説を見ると、この樹は人類の生命の進化の過程を表わしているらしい。確かに根元の方は微生物たちだが、上を見るとヒトに近い生物が何体かいた。真っ赤な空間に、生物の模型が乗せられた鮮やかな色の木のオブジェ。なんかもう、ゲームだったら間違いなくラスボスが出てきそうな場所だったのである。その非日常的空間に圧倒されると同時に、何かと話題の某マスコットキャラクターもここから着想を得たのだろうか…と今更ながら思うなどした。入場には予約が必要だが、興味がある人、岡本太郎を体感したい人はおすすめかもしれない。

 

 

 朝食バイキングだいたい負ける。

 食事に勝ち負けを持ってこない方が良いことは承知の上で言わせていただくが、私はホテルの朝食のバイキングで勝てたためしがあまり無い。

 そもそも朝食バイキングで負ける理由が3つ考えられる。

①朝が弱いため、明確な判断が出来ない。

②同じく朝が弱いため、大量に食べられない。

③そもそもバイキングって難しすぎる。

以上の3点だ。

 まず①から見てみよう。私は低血圧なので、朝が弱い。起きたばっかりだと「ァ…」とか「ゥ~……」とかしか言ってない。そのため、朝起きてご飯を食べられるようになるまでには、多少時間が必要である。ちゃんと朝食会場に行けるように身支度を整えたりしても、明確な判断ができるようになるまでには至っていない。そんな状態でいきなり「パン!白米!地元の魚を使用したお惣菜!ベーコン!シリアル!納豆!卵焼き!新鮮な刺身!ソーセージ!牛乳!旬の果物!チョコレートケーキ!!」とか言われても全然処理できないのである。

 だが「そんなおいしそうなものが多いなら全部食べればいいじゃない」というはらぺこマリーアントワネットの前に立ちふさがるのが②である。先述した通り私は朝が弱い。朝起きてすぐに定食とか食べられない。非常に申し訳ないが、旅館で出て来る豪華な朝食とかも、全て自分ひとりで食べきれたことがほとんどない。ただでさえ胃には限界があるのに、朝だと余計限界に達するのが早くなってしまう。なかなかもどかしいものである。

 そして③。そもそもバイキングって難しすぎる。たくさんのおいしそうなごはんたちの中から、限られた胃の容量と時間を検討した上でその場における最適解を目指していかなければならないのである。これは朝から結構な重労働と言えよう。限られた手札からベストを目指す作業。最早日々の生活がバイキングに繋がっていると言っても過言ではないだろう。というかうちの家族は食事に対して真剣すぎる。2月に親戚の法事で1か月ぶりに会ったのに、うっかり夕飯がバイキングだったせいで近況報告など何もなく1時間半バイキングの話をして終わった。「本当にこれがシメでいいのかな…」「まあ今回、麺類が少ないから難しいんだよね」と最後まで真剣にシメについて考察して感想戦もした。そんな頭をフル回転させる難しい問題を、朝から挑まねばならないのである。

 以上の理由から、朝食バイキングは毎回「これでよかったんだろうか…」という微妙な気持ちで終わっている、気がするのである。もちろんどれもおいしい。おいしいのだが、「もっと最適解があったのでは?」「我々にはもっとできることがあったのでは?」という気持ちになるのである。バイキング道は、なかなかに険しい道と言えよう。

 いつか最適解を叩き出せる日が来るのだろうか?とも思うが、なんだか嬉しいような寂しいような気持ちになってきてしまう。とりあえず、しばらくはこの道をひたむきに精進していこうと思う。バイキング道は、まだ始まったばかりなのだから。

 

 

 旅行の計画を立てる時、私は割とガイドブックを見るタイプである。

 とは言っても、ガイドブックを見るようになったのは割と最近のことだ。それまでは「まあネットで調べればいいんじゃない?」と思っていた。

 そんな私の考えを変えたのは、同じく旅行好きの母がガイドブックをよく買っていたのがきっかけであった。母は正直こちらがビビるほど、旅行の度にガイドブックを買っている。まだ行くと確定していないところも買っている。そのうち全国制覇しそうだ。そんな母が、とある旅行の計画を立てていた際に、「読む?」と彼女のコレクションから一冊差し出してくれたのである。その時は「まあ…」とあまり乗り気ではなかったのだが、読んでみたところ、とても良かった。そのため、計画を立てる際にはよく参考にしている。

 どこがよかったのかと言われると、わかりやすかったのである。もっと言うと、旅行に際して最低限必要だろう情報―――旅行先の地図、主要な駅や各観光地へのアクセス方法、それに伴う時間、外せない有名なスポットやお土産などなど―――が全て載っているのだ。これらの情報は、調べればネットでもわかる。しかし、それがわかりやすく一冊にまとまっており、全体像を簡単に掴むことができるのがガイドブックなのである。さすがプロの仕事といえようか。旅行の計画を立てる際に何かわからないことがあっても、いちいち検索するまでもなくこれを見ればだいたいわかる。そんな頼もしい存在なのである。

 もちろん、ネットで調べることの良さもある。ふと思い立った日でも気軽に調べられるし、よりディープな情報を知りたい時はうってつけだろう。そう考えると、あまり知らない土地に行く際にはガイドブックを参考にするのがいいのかもしれない(何度も行ったことがある場所のものを見てみるというのも面白いが)。

 なんにせよ、旅行に行く際はガイドブックを一度は読んでみることをおすすめする。図書館にも置いてあるので、軽く見てみるだけでも良い。既にネットで一通り調べ、もう万全な計画を立てた人も見るのをおすすめする。「別にもう調べたし…」とか思いながらも、なんだかんだ最後まで読んでしまい、また新たな楽しみが増えるだろうから。

 

「無縁の縁」

 旅行で国内は飛び回っているものの、海外は生まれてこの方行ったことがない。

 ほぼ毎年家族旅行に行き、ほっといてもどこかをうろうろしているような人間だが、日本からは出たことがない。海外に行きたい!と強く思ったこともない。というか別に「絶対に行くんだ」という強い思いがなくても、「仕事で」「修学旅行で」「推しのライブが」などの理由でも充分に海を越えることができるのだから、ただ単にご縁が結ばれていないんだろうと思う。

 そんな私でも、行きたい国というのはある。フランスである。歴史や芸術が好きなのだから、やはりルーブル美術館オルセー美術館といった本場の美術館に一度は行ってみたい。有名な作品をこれでもかと見て、本物だ…とか言ってみたいものだ。それと凱旋門ノートルダム大聖堂ヴェルサイユ宮殿もこの目で拝んでみたいものである。あの立派な建物とその装飾の美しさを味わいたい。あとできれば有名なあの蚤の市でちょっとしたかわいい小物など買ってみたい。ついでにパン屋で本物のフランスパンも買ってみたい。

 こんな感じでおおよその行きたいところややりたいことなどはあるのだが、実行に移そうという気がまるで起きない。実際にいろいろ考えていると、フランス語全然わからないし…飛行機10何時間か乗らなきゃいけないし…治安が…物価が…とどんどんネガティブになり、なんだか私とフランスとの間は縮まるどころかひどく断絶してしまうのである。というか、どうにも私は自分の思っていることが通じない(かもしれない)、ということが結構怖いらしい。日本に住んでいても思っていることが通じないことなんてまああるのだが…。それはともかく、その恐怖心からか間違っても勢いだけで「よっしゃ!飛行機予約しよう!」とはならない。そもそもパスポートないし、勢いだけで予約しないのは賢明だろう。そんなこんなで、私はフランスに行く、またフランスで旅行を楽しんでいる、というイメージも湧かないでいるのである。ふらんすへ行きたしと思へども、ふらんすはあまりに遠し。

 こんなことをもちゃもちゃと考えていた折、森絵都さんの『屋久島ジュウソウ』というエッセイに「②無縁の縁」という話があった。なんでも森さんは人生において、「運転免許を取ること」「ピサの斜塔を見ること」だけは絶対にありえないと思っていた。しかしその「絶対に」という決めつけが仇となり(?)、結果的には二つの禁忌をどちらも達成したそうである。以下本文より引用。

 人生において絶対にありえないことなんて、なくていい。禁忌を設定するのは自らを窮屈にすることで、なんでもありが一番だ、と今の私は思っている。

 けれど一方、人間は何かしら「無知の知」ならぬ「無縁の縁」に縛られて生きているのではないか、としつこく穿ってみたりする。(中略)

 ありえない、ありえないと思いつつ、彼らが見えない糸にたぐられてあれよあれよと(引用者註――彼らにとってもっとも無縁そうなスポットである)シンガポールへ、アフリカへ、ガラパゴス諸島(どこ?)へ吸いよせられる姿を想像し、悦に入っている私である。

 この文章を読み終わり、私の「無縁の縁」はやはり海外、あの考えれば考えるほど遠ざかるフランスなのではないかと思った。「海外かあ」とか思う度に、私はあちら側へじわじわ吸い寄せられているのではないだろうか。いや、「英語すらできないし」とかいう言葉に至っては、最早フランスへ一歩踏み出しているのではないか。こんなの、もう、押すな押すなよ現象ではないか……。みたいなことを、しみじみと考え込んでしまった。

 実際、「無縁の縁」が本当にあるのかはわからない。近い将来に私はフランスに行っているかもしれないし、やっぱり行かずに人生を終えるのかもしれない。そもそも、フランスに対し「無縁の縁」すら無いのかもしれない。けれども、昔の自分が「なんでそこに?」と思うような場所にいるのは悪くないな、と思えた。どこかをほっつき歩いている人生が、やはり私は好きらしい。

最近聴いてる曲

最近聴いてるおうた6選

〇全方向美少女/乃紫

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 インスタとかのショート動画でよく聴く曲。「正面で見ても 横から見ても 下から見てもいい女で困っちゃう」で有名なやつですね。

 サビも好きだけど「愛と妬みを足して嘘と涙で割れば 世にも美しき怪物「女の子」の出来上がり」「眉も目も唇も好きな様に描き足しな? 熱い眼差しが無きゃ千年の恋も冷めちゃうわ」も好き。「人のような美しい化け物」が好きで坂口安吾だと「桜の森の満開の下」か「夜長姫と耳男」が好きな人間なので、ここの歌詞は刺さりまくり。「You're the fire or ice or sweet sweet dream」、君は炎か氷か甘い甘い夢か。

 あと「よく人に好かれます魅せ方も解ってます 美しさも愛嬌も天は二物を与えます」「酸いも甘いも味わって 今をきっとちゃんと愛してね」とかちょっと余裕のある感じもとても好き。

 

〇ウタカタララバイ/Ado

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 超個人的これって人間が歌える曲なんですか!?ランキング1位。なんでカラオケの上位に来ているんだ…?みんながんばって練習してんの…?

 個人的にAdoさんにはしっとり系よりテンポが速めでオラついている歌を歌ってほしいな~と思っているので、FAKE TYPEさんとコラボしてくれてよかった~。あと強いというよりは強がり、という感じなので「リアルなんて要らないよね?」「ねえ教えて何がいけないの?この場はユートピア だって望み通りでしょ?」と疑問形になっている歌詞が良い。「もう戻れないの だから永遠に一緒に歌おうよ」と破滅すら感じさせるのも良いっすね。映画は見てないけど(ごめん)ちょっと興味が出てきた一曲だった。

 

〇尊み秀吉天下統一/超能力戦士ドリアン

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 尊み秀吉天下統一沼落ち確実ホトトギス。サビの語感が良すぎる。普段オタクやってて無理無理無理;;尊い……………………とかあまりならないタイプだけど、この言葉を使うためにそんなオタクになりたいとすら思えた。「堪らない!ヤバくない?命が足りない!ありがとう」も好きだけど「大感謝あぁ大感謝 サンシャインがほら乱反射」も割と意味がわからなくて好き。まあ突然キャパを超えると、人間は混乱しますからね。

 超能力戦士ドリアンだと他には「カフェかと思ったら美容院だった」も好きだしこの時期にぴったりな「実際に猫の手を借りる事で助かる業務は何かある? 資料作ったり経費精算を頼むとどうなるか」と根本的な疑問を投げかけてくる「猫の手を借りたら大変な事になった」も好きです。

 

〇人マニア/原口紗輔

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 一部界隈では有名な例の曲。みんな言ってるけどなにこれ?みたいなメロディーが流れて来る。

 歌詞も趣味が悪めの皮肉が効いているところと何?みたいなところがある。コメント欄の有識者を見る限り、おそらく本人も意識してひと昔前のニコニコ動画感を出しているんだろうなあと思う。私は「手抜くぞ すぐ抜くぞ」「ビバ良くない!」「あ…消した。環境の為に。Xだけの"人マニア"」のあたりが頭に残っている。めちゃくちゃ好き!というわけでもないのだが、その独特な歌詞とメロディーがこびりついてしまっている。恐ろしい曲だ。ビバ良くない!

 

Red fraction/MELL

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 みんな大好きブラックラグーンのアニメ版のOPです。アニメはあまりしっかり見られていないけど、OPはかっこよくて印象に残っており、定期的に思い出しては聴いている。その周期がやって参りました。

 「I have a big gun I took it from my Lord」私が持っている大きな銃は主からの授かり物、といったように最初からブラックラグーンの世界観が全開でサイコー。あとこちら(Mell - Red fraction : 和訳 - screw-witted (hatenablog.com))の和訳が素敵なので引用させていただきますが、「No time for sissy pig Queen of ocean Sing "the Volga" to you」、「女々しいブタ野郎ども時間切れだ 海運の女王さまが『ボルガの舟唄』を歌ってやるよ」も粋(?)な感じでいいですね。聴いてると強くなった気分になるし、また漫画を読みたくなる。

 

〇君がいない/SixTONES

youtu.be

 FIRST TAKEで聴いて一気に好きになった曲。特に2番の憎しみのこもった京本大我パートから「君がいないとほんとロクでもない 脆くて暗い ひとりじゃ踊れない」という落ち着いた低音の田中樹パートに行くところが好き。

 あとバンドサウンドでラップだけど結構引きずってる失恋ソングだというギャップも好き。京本大我の高音に気を取られていてしばらく気が付かなかったのだが、「ただ伏せってないで 待ってないで どこへだって探しに行けるのに 何もかも始まらない だって君がいない 君が、」って未練がタラタラのグズグズな失恋である。何気ない日々にイラついてるし、本当にロクでもない。あいみょんの「愛を伝えたいだとか」みたいな、お前…ガチめんどくせ~~ッ…って人間のおうたが好きな人は好き…かもしれない。

 

 以上最近聴いてる曲6選でした。あとはひこにゃん音頭とか聴いてます。ひこにゃんひこにゃんひこにゃんにゃん。

 割と楽しかったので今後も曲紹介をやりたいし、積極的にいろんなジャンルの曲を聴いていきたいね~。

京都駅周辺ビジホ備忘録

 昨年夏、怒涛の如く京都出張をして京都駅周辺のいろんなビジホに泊まったので、独断と偏見で個人的によかったホテルを記載していく。ただほぼ自分用のメモなので、ちゃんとしたレポとかではない。「京都駅周辺でホテル取らなきゃいけないけど特にこだわりとかねえ」とかいう人には参考になる…かもしれない。

 ちなみに価格帯は平日・朝食あり・一人・一泊で8,000円前後。なのでこの条件が違うと価格も自ずと変わってきます。あとキャンペーンとかで安くなっていたものもある。本当に参考程度の備忘録なので許してくれ。

 

◇アルモントホテル京都

アルモントホテル京都【公式】 (almont.jp)

 ウェルカムドリンクの種類が多い。ホテルのウェルカムドリンクというとたいていコーヒーなのだが、ここはドリンクバーみたいになってた。あったかいのも冷たいのも飲める。そして入口付近の広々としたラウンジで飲めるので、ドリンク片手に置いてある本を読みながら観光の予定とか立てられる。ありがて~。

 あと大浴場もついている。ドライヤーが立派だったと同時に、(確か)使い終わったタオルの回収箱もあったので、濡れたタオルを部屋まで持っていかなくて良いのはとてもありがたかった。いろんなホテルに導入してほしい。朝食も結構いろんな種類があってよかった。

 

ダイワロイネットホテル京都八条口

ダイワロイネットホテル京都八条口【公式】JR「京都駅」八条東口より徒歩4分 (daiwaroynet.jp)

  至って普通の綺麗なビジホで、立地がありがたい。八条東口を出て5分ほどまっすぐ歩けば着く。加えて道の途中にドンキとかしまむらとか飲食店入ってるアバンティデイリーヤマザキがあるので、「疲れたからさっさと帰りたいけど飯買いたい😭あと靴ぶっ壊れた😭」などとなった時に便利。京都のポルタでも買えるけど…迷うかもしれないし……

 あと系列店が京都駅付近にあるせいなのか?、ギリギリになっても比較的予約が取りやすかったのもありがたかった。値段も手ごろ。

 

◇ホテルエルシエント京都(旧:エルイン京都)

ホテル エルシエント京都【公式】京都駅八条東口徒歩2分 (elcient.com)

 八条東口そばの立派なホテル。部屋もとても綺麗。特に大浴場が印象的で、ハーゲンダッツを始めとしたさまざまな自販機や流行りの漫画が揃った休憩コーナーもあった。ずっとここにいれてしまう…

 それゆえに仕事行くのやだ~~~~ッ明日も漫画読むんだ~~~~~~~ッになってしまったので、私のような人間はあんまり泊まらない方が良いのかもしれない。てか前日入りには向かない(個人の感想です)。逆にホテルでゆっくりしたい人はぴったりかも。朝食会場も広くてよかった。

 

◇ホテル京阪 京都グランデ

【公式】ホテル京阪 京都 グランデ|京都駅直結、八条東口徒歩約1分 (hotelkeihan.co.jp)

 同じく八条東口そばのホテル。例のアバンティの隣なのでわかりやすくて何かと便利だし、地下道を通れば雨でも濡れない。セブンもある。立地最強じゃないだろうか。大浴場は無いけど、あそこらへんの駅そばの綺麗なホテルの中では比較的予約が取りやすかったし手ごろな値段だった。

 あと部屋に百人一首かるたが飾られていた。歌人に見守られながら寝ることが出来ます。

源重之、皇嘉門院別当大中臣能宣藤原義孝に見守られて就寝

 

◇OMO3京都東寺 by 星野リゾート

OMO3京都東寺 by 星野リゾート【公式】 | OMO3 Kyoto Toji by Hoshino Resorts

 星野リゾート系列だけど気軽に泊まれる。ラウンジには枯山水があったり、(東寺に近いからか)壁に菩薩がいたりと、デザイン的で面白い。

 一応朝食付きのプランで予約したけど、ここは朝食というかラウンジ近くの無人売店で使える商品券?をくれるというシステムだった。売店のラインナップは軽食と飲み物とおみやげ等々…という感じだったので、「朝から定食もバイキングも食べられないけど一応食べたい」「ギリギリまで部屋にいたい」って人は丁度いいのではないか。ちなみにパジャマもこの商品券で買わないと無いので、ご利用は計画的に。でも売店では商品券が切れても普通に現金とかクレカで買えます。

ラウンジの壁

 

 

◎紹介してきたのとちょっと違うから除外したけど個人的におすすめなホテルたち

 

◇ホテル アンテルーム 京都

HOTEL ANTEROOM KYOTO | ホテル アンテルーム 京都 | UDS Hotels | UDSグループホテル公式サイト (uds-hotels.com)

  京都駅から少し歩くため除外(JR京都駅八条東口より徒歩15分、地下鉄烏丸線九条駅より徒歩8分)。「アート&カルチャー」をコンセプトとしているため、ロビーにアート作品が飾ってあったり、全体的におしゃれなホテルだった。廊下も素敵。鍵やスイッチがちょっと古かったけど、逆にそれもまたデザインとして味が出ていた。

  朝食バイキングは洋食多めだったが、他ではなかなか見ないようなメニューもあり面白かったしおいしかった。友人等と泊まるとより面白いのかも…

フィルターかけて撮っててごめん(実際は色味とか違う)

でもおしゃれだからさ…



リッチモンドホテルプレミア京都駅前

リッチモンドホテル プレミア京都駅前 | 公式サイト (richmondhotel.jp)

  ちょうどキャンペーンで安くなっていた時に泊まったため、いつもだったら高めだと思うので除外。入口から雅でおしゃれ。泊まった時は御厚意で空いている一段階立派な部屋にしていただいたのだが、まあ広くて立派だった。テレビでYouTubeも見られるし、一番びっくりしたのが部屋にアメニティでパックが置いてあることだった。それぐらいアメニティが充実している。あと冬だからかチェックアウトの時にカイロもいただいた。サービスでアイス(HPの写真見る限りハーゲンダッツ)とかも食べられるそうなので、観光で泊まるといいかもしれませんね。ほんとに。

入口からロビーに向かうまでにこんなんあった(おしゃれ~)

 


◇都シティ 近鉄京都駅(旧:ホテル近鉄京都駅)

京都駅直結のホテル 都シティ 近鉄京都駅【公式】 (miyakohotels.ne.jp)

  年一で京都に行ってる母が「定宿」と呼んでいるホテル。なんたって立地が最強。京都駅直結である。近鉄京都駅の近くにスタバあるじゃん。あそこの階段下れば入口。中は普通のビジホで、窓から新幹線とか見えたりする。

  ただそんな最強立地だからなのか割と高め。予約も割と早い段階で埋まってしまっている気が、する。でも欠点はそれぐらいなんじゃないか。定宿たる所以か。

 

スーパーホテル京都・烏丸五条

【公式最安】スーパーホテル京都・烏丸五条 - ビジネスホテル (superhotel.co.jp)

  閉店になるということで除外。チェーンなので(多分)ここに限った話じゃないだろうが、部屋の鍵が暗証番号式なのがありがたかった。番号はチェックイン時に貰うレシートに書いてあるのだが、それをスマホで撮れば大丈夫。カードキーは気軽で良いのだが、同時に「無くしたらどうしよう」「落としても絶対に気がつかねえ」という不安も抱えることになる。一方暇な時間はだいたいスマホ見ている私にとって、まあスマホは無くしたら気が付くので、その不安が解消されて心置きなく外に出られたのがありがたかった。あと枕も選べるしスタッフの人にも優しくしてもらった。スーパーホテル…また、どこかで…(系列店が四条河原町にあるそうです)。

 

  個人的な備忘録は以上です。ここに記載しなかったけどいいホテルはあったし、そもそもホテル自体の印象に残っていないってことは酷いところじゃなかったんだろうな…と思います。あと朝食美味かったけど忘れたところもあります。

 また思い出したら書くかもしれないけど、参考になればうれしい!でも君たちもサイコーのホテルを見つけてくれよな!そして教えてくれよな!

 

谷川俊太郎『二十億光年の孤独』抜粋

 

 最近読んでいる吉本隆明の『詩の力』に、谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』が引用されていた。タイトルから見て面白そうだな、谷川俊太郎の名前は聞いたことあるけどちゃんと著作読んでないな、と思っていたのですぐに借りて読んだのだが、これがとても面白かった。これが処女作なのすごすぎる。

 なので特に印象的だった作品を引用していこうと思う。作者には申し訳ないが、一部のみの引用もある。個人の感想も記しておく。ゆるせ…。引用元は全て『二十億光年の孤独(集英社文庫、2008年2月)』。

 

大志

 

レコードを三枚とばし

僕は時を支配する

 

フィナーレからラールゴへ

僕は時に逆行する

 

今度は第三面の途中から

僕はB・B・Cも支配する

 

少年よ 大志を抱け

 

音楽の再生を時の支配と表現するの、良い。録音再生を初めて聴いた人間は、めちゃくちゃ驚いただろうなとも思った。

 

かなしみ

 

あの青い空の波の音が聞えるあたりに

何かとんでもないおとし物を

僕はしてきてしまったらしい

 

透明な過去の駅で

遺失物係の前に立ったら

僕は余計に悲しくなってしまった

 

『二十億光年の孤独』の中では一番好きな作品。美しくて寂しくて静かで良い。

 

はる

 

(前略)

はるのひととき

わたしはかみさまと

しずかなはなしをした

 

「はる」より一部抜粋。この数行だけで様々な作品が生まれそう。「かみさま」に何かを祈るのではなく、「しずかなはなし」なのも良い。この作品は全文ひらがなで、春の淡くふわふわとした感じが伝わってくる。

 

灰色の舞台

 

早朝の街は雲量約九

都市を悪夢の中に忘れてきた

(後略)

 

「灰色の舞台」より一部抜粋。賑やかで忙しい昼間の街より、静かで誰もいない早朝の街の方が好きなので「都市を悪夢の中に忘れてきた」という表現が特に印象的だった。

 

五月の無智な街で

 

(前略)

スナップ・ショットたちが流れてゆく

とりどりの夢をおたがい忘れ合いながら

小さな島国のみた そして又みるかもしれない 悪い夢 良い夢――

仕方なく僕はひとり神話を空想する

〈一杯のクリイム・ソオダをストロウでかき廻して国が出来た 全く新しい 全くすき透った国が出来た〉

 

 「スナップ・ショットたちが流れてゆく」という表現が、絶妙な距離感があって良い。最初見た時はSNS、特にInstagramで画像がどんどん流れてくる様子を想像したが、所謂そういった「タイムライン」みたいなのがない時代にこの表現はなかなか面白いなあと思った。

 透き通ったクリイム・ソオダの国は緑の夜空なのだろうか。綺麗だが「五月の無智な街で」というタイトルの通り、甘ったるさとか脆さも含んだ表現なんだろうと思う。

 

 今のところ特に印象に残ったのはこんな感じ。身近なモチーフが出てくるけど綺麗で、不思議な感じがする。単語の組み合わせ方や外し方が絶妙なんだろうな。ただ一部抜粋だし、縦書きと横書きだと雰囲気や余白が全く違うので読んだ時のイメージをそのまま持ってこれているとはあまり思えていない。なので気になった人は読んでみてね~。

 

 谷川俊太郎本人の作品じゃないので引用するか迷ったが、序代わりに掲載されていた三好達治の詩もとてもよかったので、こちらを引用して終わりとする。

 

はるかな国から ――序にかへて

 

この若者は
意󠄁外に遠󠄁くからやってきた
してその遠󠄁いどこやらから
彼は昨日立つてきた
十年よりさらにながい
一日を彼は旅してきた
千里の靴󠄁を借りもせず
彼の踵で踏んできた路のりを何ではからう
またその曆を何ではからう
けれども思へ
霜のきびしい冬󠄀の朝󠄁
突忽と微笑をたたへて
我らに来るものがある
この若者のノートから滑り落ちる星でもあらうか
ああかの水仙花󠄁は……
薰りも寒󠄁くほろにがく
風にもゆらぐ孤独をささへて
誇りかにつつましく
折から彼はやつてきた
一九五一年
穴󠄁ぼこだらけの東京に
若者らしく哀切に
悲哀に於て快活に
――げに快活に思ひあまつた嘆息に
ときに嚏を放つのだこの若者は
ああこの若者は
冬󠄀のさなかに長らく待たれたものとして
突忽とはるかな国からやつてきた

 

 

金を取ってほしい博物館

 最近何もかも値上がりばかりである。

 もちろん、私がよく足を運ぶ美術館や博物館もチケット代が高くなってきている。都会の博物館の特別展など行くと、1,500円とか2,000円を超えるものもある。博物館だけの責任ではないし、これが学芸員さんたちを支える力になれば…と思うけど、まあ、もうちょっと気軽に見に行きたい…。

 ただ、あんまり安すぎるのもだんだん不安になってくる。企業博物館とかならまあ…わからなくもないが、公立の博物館だともっと心配になる。冗談でもこれが最期の輝きとか言わないよね…?になる。2023年の夏、そんな気分を味わってきました。

 帰省ラッシュで余計人が多い東京から東北新幹線に乗り、たどり着いたのは岩手県花巻市。お目当ては、宮澤賢治記念館で行われている特別展「銀河鉄道の夜」である。

 誰もが知っている不朽の名作「銀河鉄道の夜」に関する展示と、直筆原稿の公開。都会でやるなら入場料大人一枚1,500円で豪華俳優のオーディオガイドを付けて何かしらのコラボグッズとか出していそうだな…と考えてしまうが、良くも悪くも賢治記念館はそんなことしない。入場料350円で、我々を待っていてくれるのである。

 そんな破格の記念館に行く前に、まずはミニ花巻観光。羅須地人協会跡で「下ノ畑」と詩碑を見た後、賢治の弟の子孫にあたる方が経営しているカフェ・林風舎で糖分補給。そんな感じで宮澤賢治気分を上げて気持ちを落ち着かせた(?)ところで、いざお目当てへ。

 林風舎に近い花巻駅からバスに乗り、無事に記念館前へと到着。しかし運賃を払い終わると、運転手さんから一枚の紙を手渡された。前の人も貰っていたが、一体これは…?と思って見てみたら、「施設優待券」とあるではないか。

 なんでも、この券を見せると、宮澤賢治記念館を始めとする花巻市内のいくつかの施設が無料で入れるらしい(宮沢賢治記念館 入館料とアクセス|花巻市 (city.hanamaki.iwate.jp))。「なるほど、地元のバスを使ってほしいんだな」という気持ちと「え?」というシンプルな動揺が襲い掛かって来る。

 そんな動揺を抱えたまま記念館の受付で例の件を見せたらどうぞ~と優しく通してくれた。いや、詐欺でも困るけどさ…

 魅力的な常設展を今回ばかりはちょっと後回しにして、いざ特別展へ。特別展が行われている小さな部屋には「銀河鉄道の夜」について様々な点から開設されたパネル、昭和9~10年にかけて発刊された『宮澤賢治全集』などが展示されており、その奥に直筆の原稿が展示されていた。

 この展示は時期によって原稿が違うのだが、私が見た時はちょうどジョバンニが汽車に乗っていることに気づいたところからだった。賢治の独特な字によって、2人の最初で最後の銀河鉄道の旅は綴られて行く。書かれた文字に上から線を引いて新しい表現に変えたかと思えば、欄外まではみ出した加筆、5行まとめて消している箇所などあり、この作品に対する賢治の強い思いがひしひしと伝わって来る。そういった校正の跡も、消されてしまった文章たちも(頑張れば)見えるのが生原稿の良さだ。ちなみに原稿自体、「鉛筆による下書き」「BBインクで書かれた一部再清書」などというように、研究者たちによって細かく分析されているらしい。ひえ~…

 そんな感じでしみじみ見ている時に驚いたのが、この展示室内も写真撮影OKということである。つまり直筆原稿も写真撮影可能なのだ。直筆原稿だけど!?とビビりまくるが、みんな普通に写真を撮っている。もちろん私も写真を撮った。直筆原稿だけど?

 ついでにパネルなども撮って勉強になるな~~とか思っていたところへ、「パンフレットを受付で無料配布しています」という展示ケースの間のポップが目に入る。無料配布…?後に同行者が貰っていたので見せてもらったが、背表紙はないがしっかりとした紙にフルカラーでほとんどのパネルの内容が印刷されている。実質的な図録だ。無料配布…?

 宮澤賢治記念館を堪能し尽くした、というか「大丈夫?」というぐらい見た後は近くのレストラン・山猫軒で昼飯を食べ、宮澤賢治イーハトーブ館で行われていたますむらひろし「『銀河鉄道の夜 四次稿編』複製原画展」へ。絵が綺麗でとても勉強になったが入場無料。申し訳程度に、売店「猫のじむしょ」でグッズを買いました。

 そんなこんなで、日帰り花巻旅行はこれにて終了。宮澤賢治巡りは非常に楽しかったし、直筆の原稿が見れたのは大変貴重な機会だったのだが、「なんであんな大盤振る舞いだったんだろう…」という気持ちが強くなってしまった。人間って不思議だ。出身校の花巻東高校がある縁で、大谷選手から「これ、賢治先生のために使ってください(地元の人はみな賢治先生と呼ぶ)(隣の奥州市出身の大谷翔平が言うのかは不明)。」と毎年めちゃくちゃもらっているのだろうか。部外者すぎてその辺りはよくわからないが、こういった博物館などにお金を使ってくれるのはありがたいと思う。  花巻には「賢治まちづくり課」があるように、市を挙げて賢治を推してくれているのがひしひしと伝わった旅だった。「宮澤賢治が好き!」という人は、ぜひとも一度行くべきである。

 

 ちなみに例の展示室に「直筆原稿などの資料の修復・保存作業を行ってます、とっても大事な作業です(意訳)」と書かれたパネルがあり、「これはまさか『皆様のお力が必要です』『お金足りないのでクラウドファンディングします』とか言うんじゃ…」とか思って見てたら「これからも頑張ります!」という感じで終わっていた。これから、つらくなったら、いつでも言っていいからね……

 

初めての祇園祭

 2023年の夏は週一で京都に行っていた。

 趣味でではない。仕事でいろいろあって、週一で関東から新幹線で上洛するというスタイルが7月から9月まで続いたのである。

 「出張で京都へ」という話をすると、たいてい「いいなあ」「素敵ですね」と言われる。私も最初のころまではそう思っていた。

 年一で京都へ旅行している私、この私が「もういいです」となった理由は単純である。仕事だからだ。たとえ京都にいようが、きっちり8時間労働しなければならないのである。9時から18時(+α)まで、しっかりと。

 そうなると、当たり前だが観光する時間はそう取れはしない。そもそも私が京都に行って訪れる場所は、だいたい寺社仏閣なのだから、朝早く開いて夕方にはもう閉まっている。夜に一人で行くのも、危ないからなるべくやりたくない。

 あと日程の調整もなかなかできない。仕事だから。責任者である先輩に一応「京都に行く日、月曜か金曜にしてください」と言ってみたものの、あまりその願いは叶わなかった。先輩も同じ気持ちだったのに…。そのため京都行った次の日は関東に戻って朝から仕事、というスケジュールをよくやっていた。遊ぶ暇、無さすぎる。週二で上洛とかも何回かあった。めちゃくちゃである。

 そんなめちゃくちゃ案件だったが、まあ良いことはあった。そのひとつが、祇園祭を生まれて初めて見ることができたことである。

 とある7月の金曜日、時間外労働を強いられ、ヘロヘロで京都駅に帰っている時のこと。疲れたし遅いしもう自腹で京都に泊まろうかな~笑 金曜日だしな~笑とかぬかしていたら、先輩が「遅いしいいよ、ちゃんとこっちから言って会社から金出すよ」と言ってくれたのである。

 その言葉を受けて京都駅に降り立った私の、有頂天たるや。私がディズニープリンセスだったら、京都駅に着いた瞬間に仕事着は可愛らしいドレスに変わり、京都タワーは激しく愉快に点滅し、鴨川の鴨は私を祝福する歌を歌っていただろう。よくスキップして歌も歌わずに、その日のホテルにチェックインしに行けたと思う。テキトーにトートバッグに財布やらを詰め、夜の京都に繰り出した。

 祇園祭に関しては「7月の間ずっとやってて、なんかいろんな種類の大きい鉾がぞろぞろでてくる」といった知識しかなかった。そのため、まず驚いたのが、大きい鉾の隣を車がビュンビュン走っていることである。私のイメージしていた「お囃子鳴らして道路をぞろぞろ進んでいく」というのは、どうやら特定の日だけらしく、道路に止まって雅なお囃子を鳴らしている横で車は普通に行き交っていた。いくら京都と言えど駅にも近い道路でそんなずっと交通規制やるのも大変そうだしなあ…と思ったが、なかなか面白い光景だった。

 そしてもうひとつ発見だったのが、大きい鉾はそれぞれの町ごとのものである、ということだった。てっきり全部どこかの神社の持ち物なのかなあ(1列でぞろぞろでていたため)と考えていたのだが、そうではなく町内会の人々が管理・運営(?)しているものだったのである。そういえば地元で行われていた祭の山車は、各地域の人々のものだったなあ…と昔の記憶が蘇った。そのため、あっちこっちの道路からお囃子が聞こえてくるし、町内会の出店に「ちまきいかがですかー」とやらされている感満載のちょっとけだるげな若者がいたのも趣深かった。きっと毎年親族とかのせいで半強制的に参加することになっているんだろうな…

 そんなちょっとした無秩序さを感じた帰り際、「お囃子を聴くと夏って感じがするわあ」「〇〇町の昔のお囃子は…」みたいな話が耳に入って来る。祇園祭は、そのスケールこそは大きいものの、今でも京都という地に根付いたお祭りなんだなあ…。というか、お祭りってこういうものだよなあ、と今更ながら実感した。

 近頃、京都はいかにも「観光地!」という感じでどんどん整備されているように感じる。もちろんさまざまな人が訪れるようになることは間違いなく良いことなのだが、個人的には若干の近寄りがたさも感じていた。けれども、この祇園祭を通じて親密に…仲良し…にはなかなかなれていない…が、「そういうところもあるんだねえ」と思えた、そんな夜だった。